Portalのストーリーは、GLaDOSからの音声メッセージや「アナウンス」、そして後半のレベルで見つかる部屋内の視覚的要素を通してプレイヤーに明かされます。『The Final Hours of Portal 2』によると、舞台となる年は「2010年のどこか」、つまりAperture Scienceが放棄されてから12年後に設定されています。 ゲームは、Chellが休眠ベッドから目を覚まし、人工知能GLaDOSから今後のテストに関する指示と警告を聞くところから始まります。Chellは、プレイヤーにゲームの仕組みを順番に紹介する個別の部屋へと進んでいきます。GLaDOSのアナウンスはChellへの指示となり、プレイヤーのゲーム進行を助けるだけでなく、ゲームの雰囲気を醸し出し、AIを人間として特徴づける役割も担っています。Chellは、全てのテスト部屋をクリアすれば、報酬としてケーキがもらえると約束されています。 Chellは空っぽのEnrichment Centerを進みますが、GLaDOSとの唯一のインタラクションはGLaDOSだけです。プレイヤーがクリアに近づくにつれて、GLaDOSの動機と行動はより邪悪なものへと変化していきます。 GLaDOSは一見励みになるよう設計されているものの、その行動や発言は被験者の安全と幸福に対する不誠実さと冷酷な無視を露呈している。チェルが進むにつれてテスト室はますます危険になり、軍用アンドロイド向けに設計された実弾射撃コースや、危険な液体で満たされた部屋などが含まれる。別の部屋では、GLaDOSはチェルがテストを完了するのに役立つ「ウェイト付きコンパニオンキューブ」の重要性を指摘する。これは腰の高さの箱で、各面に大きなピンクのハートが一つずつ描かれている。しかしGLaDOSは、チェルがテストを続行する前に「緊急情報焼却炉」で安楽死させる必要があると宣言する。後の部屋には、子供のような声（これもマクレインの声）を発する自動砲塔が設置されており、チェルに向かって発砲するが、破壊または無効化されると彼女に同情する。 チェルが最後のテスト室を完了すると、GLaDOSはチェルを焼却炉へと誘導し、殺害しようとする。チェルはポータルガンを持ってエンリッチメントセンター内のメンテナンスエリアを進んでいく。GLaDOSはパニックに陥り、テストの一環としてチェルを殺そうとしたふりをしていたと主張する。GLaDOSはチェルに「パーティーエスコート服従体勢」を取るよう指示する。これは、地面にうつ伏せになり、「パーティー仲間」がチェルを報酬の部屋まで連れて行けるようにするための体勢だ。しかし、チェルは逃走を続ける。この場面では、AIがセンター内の他の全員を殺害したことが明らかになり、GLaDOSはチェルと交信する。チェルはメンテナンスエリアやチャンバー裏の空きオフィススペースを進み、時には正しい方向を示す落書きを頼りに進んでいく。これらの舞台裏エリアはひどく荒廃しており、清潔なテストチャンバーとは対照的である。落書きには「ケーキは嘘だ」といった言葉や、エミリー・ディキンソンの詩「馬車」、ヘンリー・ワズワース・ロングフェローの「死神と花」、エミリー・ブロンテの「臆病者の魂は私のものではない」といったコピーが添えられており、コンパニオン・キューブの死を悼む内容となっている。 チェルがメンテナンスエリアの奥深くへと進む中、GLaDOSはチェルを脅迫し、誤解を招くような言葉で説得しようとする。チェルはGLaDOSのハードウェアが頭上に吊り下げられた大きな部屋へと辿り着く。GLaDOSはチェルを脅し続けるが、その最中にGLaDOSから球体が落下し、チェルはそれを焼却炉に落としてしまう。GLaDOSは、チェルが道徳コア、つまり良心を破壊したばかりであることを明かす。これは、AIが神経毒ガスを濃縮センターに流し込んだ後にアパーチャー・サイエンスの従業員が設置した複数の「人格コア」の一つである。取り外すと、彼女は再びエミッターにアクセスできるようになる。6分間のカウントダウンが始まり、チェルはGLaDOSの人格コアをさらに剥がし、焼却していく。GLaDOSは、挑発や幼稚な侮辱の言葉、そしてロケットを発射するなど、言葉で彼女を貶める。チェルが最後の人格コアを破壊した後、故障により部屋は破壊され、すべてが地上へと運ばれる。そして、チェルはGLaDOSの残骸に囲まれ、施設の門の外に横たわっている。Portal 2の発表後、エンディングは後のアップデートで拡張された。この遡及的な連続性の中で、チェルはロボットのような声で話す見えない存在に引きずり出され、「パーティーエスコート服従姿勢」をとってくれたことに感謝する。 施設の奥深くを長く速いスピードで駆け抜けた後、最後のシーンでは、ブラックフォレストケーキと重みのあるコンパニオンキューブが映し出され、その周囲には数十個の明らかに使用されていない人格コアが入った棚がいくつか並んでいる。コアが点灯し始めると、ロボットアームが降りてきてケーキのろうそくを消し、部屋の電気が消える。エンドロールが流れると、GLaDOSは最後の報告を告げる。「Still Alive」という曲は、実験が大成功だったことを告げると同時に、GLaDOSがまだ生きていること、つまり彼女の「ハッピー」コアが無効化されていないことをプレイヤーに示す役割も果たしている。