「No, I'm not a Human」について

終末の夜、扉のノック音があなたの理性を試す——。今回は、2025年9月にSteamでリリースされた心理ホラーゲーム 『No, I’m not a Human』 を紹介します。人間と偽る訪問者「Visitors」を見分け、生き延びることを迫られるこの作品は、恐怖とは“驚かされること”ではなく、“疑うこと”であるという感覚を丁寧に描き出します。静かな焦燥と選択の重みが、心に残る体験としてプレイヤーを誘います。

ゲーム概要

この作品は、世界の日中が太陽の異常活動によって灼熱地獄と化し、夜間にしか外出できないようになった設定を背景としています。プレイヤーは一軒家に身を潜めながら、「人間」か「Visitor（訪問者）」かを見分ける選択を迫られます。毎晩、避難を求める来訪者があなたの家を訪れ、判断を下す必要があります。昼間には来訪者の言動や身体的特徴をチェックし、夜には選択を実行するというインタラクティブな心理サスペンスです。

来訪者を見分けるための手がかり（兆候）は毎日ニュースなどで提示される仕様で、歯の白さや爪の汚れ、赤目などの特徴が挙げられます。ただし、これらの兆候は必ずしも確実ではなく、人間も一部似た兆候を持つことがあるため、判断のリスクが常に付きまとう設計です。

また、探索要素やマルチエンディングを含む構造、来訪者それぞれの物語分岐、複数エンディングの存在など、リプレイ性を支える要素も多数残されています。

特徴的な要素には、

• ランダム要素：プレイごとに来訪者の組み合わせや物語展開が変化する
• 限られたエネルギーリソース：一日に使える検査回数が制限され、どこを重点的に調べるか戦略性が問われる
• 「セーブ手段がアイテムに依存している」仕様：通常のオートセーブがないため、保存場所やタイミングの判断もプレイヤーの緊張に繋がる

Steamストアのページによれば、英語レビューにおいて 2,651 件中 87％ が好評とあり、評価の多くは肯定的です。また、SteamDBのチャートによると、ピーク時には同時接続数 8,248 人を記録しており、初動の注目度の高さを裏付けます。

レビューの傾向・評価

Metacritic での批評家スコアは 76（Generally Favorable） で、8 件のレビューをベースにしています。レビューの割れ方を見ると、4 件が肯定的、4 件が若干混合寄りの評価とされ、否定的なレビューは少数です。

評論家からは次のような評価が寄せられています。

• パラノイアとサバイバルを融合させたコアなテーマが、初回プレイに十分な衝撃を与える
• プレイヤー自身の心理と向き合わせるホラー体験。疑いが進行の鍵になる設計は秀逸だが、繰り返しプレイや物語構成には若干の浅さを感じる
• 雰囲気、視覚表現、音響演出が秀逸。だが、セーブ仕様や反復要素などゲームメカニクスの粗は否めない

Metacritic のユーザースコアは 6.9（Mixed or Average）と評価されており、賛否がやや割れる傾向にあります。

Steam 上では「Very Positive（非常に好評）」評価をもつレビューが多数で、86–87％の肯定率を記録しています。

ユーザーの肯定的な意見では、

• 「ジャンプホラー的な驚かし要素に頼らず、疑心と雰囲気でじわじわと迫る恐怖がクセになる
• 「来訪者を慎重に観察し、微かな兆候を探る探索要素が没入感を高めている
• 「日本語対応・操作性などのローカライズ品質が高く、違和感なくプレイできた

反対に、批判的な声としては次のようなものがあります。

• セーブ手段が極端に限定されており、進行不能になるバグが発生することも
• 繰り返しプレイのためのシステムが薄く、リプレイ誘導が弱い
• 操作性やUIの不便さ、コントローラ／カーソル制御の問題がときどき目立つ

また、Steam Deck 上でのプレイレビューでは、グラフィック表現や演出は高く評価されつつも、バッテリー消費量の高さや一部UI不具合（例えばカーソルが消える・ソフトロック問題）が報告されています。

まとめ

『No, I’m not a Human』は、ホラーゲームとしての“脅かし”ではなく、“疑うこと・選ぶこと”を主題に据えた巧みな作品です。来訪者を受け入れるか撃つか、その判断のたびに心理的な葛藤が積み重なり、静かな恐怖としてプレイヤーの記憶に残ります。評価面においても、批評家はテーマ性や雰囲気を高く評価しており、ユーザーも肯定的な体験を語る声が多くあります。

ただし、セーブ方式の癖や技術的な不具合、操作まわりのもどかしさなど改善を望む声があるのも事実です。リプレイ性や長時間遊ぶための拡張性には限界を感じる人もいるでしょう。

それでも、短時間ながらも強い印象を残すインディー・ホラーを求める人にとって、手に取りやすい価格と日本語対応も魅力です。疑心と選択がテーマの世界で、あなた自身の判断力が試される体験を、ぜひ味わってみてください。

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